HBOCはどのように診断されるの?

遺伝性の乳がんや卵巣がんを疑うべきサイン

乳がんや卵巣がんのがん細胞を見ても、遺伝性のがんかどうかを判断することはできません。ですから、まずは、HBOCの方で見られることのある次のような状況を「遺伝性の乳がんや卵巣がんを疑うべきサイン」にして、HBOCの可能性があるかどうかを検討します。

  • 乳がんを発症したことがあり、かつ次にあてはまる血縁者がいる
    - 50歳以下で乳がんを発症
    - 卵巣がん/卵管がん/腹膜がんを発症
    - 乳がんや膵がんを発症した血縁者がいる(2人以上)
  • 若年発症の乳がん
  • トリプルネガティブ乳がん
  • (お1人の方で)2個以上の原発性乳がん
  • (お1人の方で)乳がんと卵巣がん
  • 男性乳がん
  • 乳がんを発症したことがあり、かつ次にあてはまる血縁者がいる
    - 50歳以下で乳がんを発症
    - 卵巣がん/卵管がん/腹膜がんを発症
    - 乳がんや膵がんを発症した血縁者がいる(2人以上)
  • など

遺伝性の乳がんや卵巣がんが疑われたとき、遺伝性のがんに詳しい医師や遺伝カウンセラーによる遺伝的リスク評価を受けることが勧められています。リスク評価は、遺伝カウンセリングなどで行われています。

リスク評価対象者の基準や診断までの流れは、HBOCの診療に関係する学会・団体が発行しているガイドラインに詳しく書かれています。こちらには、一例としてNCCNガイドラインの基準を参考にしたチェック項目を紹介しています。

遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングは、遺伝性の(あるいは遺伝性が疑われる)病気について本人やご家族が相談できる医療の仕組みです。
HBOCに関係する遺伝カウンセリングでは、まずはがんの既往歴や家族歴を詳しく聴取して、遺伝がかかわるかどうかリスク評価をします。また、HBOCについて、がん発症リスクや治療・予防対策の選択肢について情報提供が行われます。遺伝する可能性やご家族のことで心配なことがあれば、それについて相談することもできます。遺伝カウンセリングは、病気になった方だけでなく、ご家族も利用することができます。必要に応じて、病気になった方とそのご家族が一緒に受診することもできます。

BRCA1/2遺伝子検査を受けることを選択肢のひとつとして考えているときも、遺伝カウンセリングで詳しい話を聞くことができます。遺伝子検査の種類や費用の説明だけではなく、遺伝子検査を受ける意義、遺伝子検査で分かること・分からないこと、遺伝子検査を受けることによる利益・不利益などについて話し合われます。
何度も話し合いをして、あるいは時間をかけて考えて遺伝子検査を受けるか受けないかを決める方もいます。遺伝子検査を受けるか受けないかを決めるのは、検査を受ける方ご自身です。遺伝カウンセリングを担当するスタッフは決めるまでの過程を支援しますが、遺伝子検査を受けるように強要することはありません。

HBOCについて相談することのできる病院は、増えています。こちらをご参照ください。

BRCA1/2遺伝子検査

BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子にがん発症に関与する遺伝子の変化(病的変異)があるかどうかを調べる検査があり、「BRCA1/2遺伝子検査」と呼ばれています。この遺伝子検査を受けて病的変異が見つかった場合にHBOCと診断され、HBOCのための医学的管理を推奨する根拠となります。

BRCA1/2遺伝子検査は、受ける方の背景によって次のように大別されます。それぞれの検査の詳細は、フローチャートをご確認ください。

●すでに乳がんあるいは卵巣がんを発症している方で、HBOCの可能性がある
>>フローチャート:発端者向け検査(スクリーニング検査)へ
●ご家族(血縁者)の中のどなたかがBRCA1/2遺伝子検査を受けて、乳がんや卵巣がんのリスクと関連があると分かっている変化(病的変異)が見つかっている
>>フローチャート:血縁者向け検査(シングルサイト検査)へ

BRCA1/2遺伝子検査には一般的な採血方法で採取した血液を使います。血液中に含まれる細胞(白血球)からDNAを取り出し、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子を調べます。検査結果が出るまでにかかる日数は受ける検査によって異なります。

BRCA1/2遺伝子検査については、まずは体制の整った医療機関を受診し、相談しましょう。
日本ではこの遺伝子検査は保険適応外の検査です(2017年5月現在)。検査にかかる費用は受ける検査の種類や医療機関によって異なりますから、受診する医療機関にお尋ねください。